REM - the Black Cat

DEUTSCH

 


エドガー・アラン・ポーの短編小説「黒猫」をモチーフにしたソロメディアダンスパォーマンス。自らの肉体を処刑台に送り込んだ男の魂が生まれ変わり、現代の情報社会を生きて行く。酒に溺れる代わりにメディアに溺れて、行き場を失っていく肉体とそこに滑り込んで来る妄想によって追いつめられて行く精神。環境に敏感であるが故にむしろ壊れやすい人間の姿を、時代を超えて浮き彫りにする。

▼ STORY

妻殺しの罪により絞首刑となった”男”、、、

情報化され、永遠にモニターの中に漂い続ける”殺された妻”。
男の魂は、無名の肉体に生まれ変わり、
”情報”という過去の残滓に溺れた世界で生きる。
いびつな空間に見え隠れする、黒猫の幻。

”肉体”は解放を求めて、
再び処刑台へと向かうのだろうか、、、

▼ DATES

2004 ワーク・イン・プログレスlounge chaos, 東京

2005 初演 シアタータヘレス、ベルリン

2006 ソフィエンゼーレ、タンスターゲベルリン

2007 Yokohama Dance CollectionRランドマークホール、横浜

2008 Dance Exhibition 新国立劇場、東京

▼ CAST & STAFF

川口ゆい        振付&出演
マリア・アドリアナ   殺された妻(video出演)

田畑哲稔        映像監修
篠木貴久        プログラミング
馬場淳         モニターコントロール
居村貞信        カメラ&編集

渡邊淳司        LED saccade-based display
松村剛         音響
ファビアン・ブライシュ 照明&装置

Justine+ARAMAT    衣装        

▼ CRITICS

…川口ゆいの35分足らずのソロ”REM - The Black Cat”には、そこから間違いなく5作品は作り出せるくらいの要素が盛り込まれていた。

しかしそのマルチぶりが -特に舞台上において- また素晴らしく、さらに川口ゆいが傑出したパフォーマーであるがゆえに、その作品は理屈抜きで楽しめるものであった。エドガー・アラン・ポーの短編”黒猫”に想を得て創作したマルチメディア・ダンスパフォーマンスの中で川口は、ストロボの嵐や電子ノイズを住処とし、首を吊られ、頭を切り落とされ、さもなくば苦悩していたりする、*七つの命を操る猫を楽しくそして刺激的に演じた。クレイジーで、奇妙で、素晴らしい!

- Michaela Schlagenwerth
(ベルリナー・ツァイトング 2006年1月18日)

*ヨーロッパでは、「猫は七つの命を持つ」という諺がある。
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ベルリンの”オフシーン”において、新進振付家達は異ジャンル間のコラボレーションを名人的に行っている。2006年1月のベルリン"タンツターゲ”フェスティバルの、中でも川口ゆいによるマルチメディアダンスパフォーマンスを取り上げてみるだけでも、その重要性が評価できる。
誰もこの日本人振付家の価値に疑問は抱くまい。彼女はバレエ、ブレークダンス、格闘技からオリジナルのスタイルを作り出し、ステージでの映像の使い方も完璧であった。

- Ce´cile GUEDON (Paris)
RUEDUTHEATRE マガジン 2006年4月27日

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…三作品のうち、世界的に見ても第一級の舞台であったのが、審査員賞受賞で、ベルリン在住の川口ゆいの自作自演「REM - The Black Cat」である。題材、踊り、演出、音楽、映像、照明、装置の各要素が非常に高いレベルにあって、舞台上で完全に融合している。各分野の才人が、お互いを十分に理解し協力して出来上がった傑作という観があった。…
…この作品が興味深いのは、こうして先端技術を駆使しながらも、テーマではその否定的側面を扱い、生身の人間の実感を扱っている事である。最後には人工現実に身を隠した男の魂が、その歪んだ世界にいる事にたえられずに、生身の人間世界における古典的イメージの冥界のような場所にでてゆき、肉体を感じさせない浮遊感のある魂の踊りを見せるのである。舞台全体がうっすら霞んでいるなかに、水か炎のようなイメージの光がくねくねと動くそのシーンは、非常に神秘的で印象深かった。

- 村山久美子
ダンスマガジン 2007年4月号


Eine Produktion von Yui Kawaguchi